Green, blue and etc.

Cameras: SONY α7S, OLYMPUS OM-D E-M1, DMC-GM5, DMC-GF7, FUJIFILM X-T2

東京ロンダリング

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ハリウッド映画なんかだと、やさぐれた警官とか探偵とかが主役で、アウトローを気どりながらも月一回、離婚した元妻と一緒に暮らす子供に会いに行くのが唯一の楽しみ(だけどじゃけんにされてる)みたいな設定がよくある。この原田ひ香っていう作家は面白くて、まあ女性作家だからなんだろうけど、その逆で、バツイチの女性が主人公で、なにやらちょっと訳アリの仕事をしつつ、元夫が連れていった子にたまに会わせてもらう、みたいな設定を使っているよう。
東京ロンダリングというタイトルの意味は、事故物件に一時的に住むことで(浄化して)通常の物件として流通させるための仕事からきていて(ほんとにこんな仕事があるのかも)、何事にも期待しない女性がこの仕事を通してちょっとした希望を見出す、みたいな話。

レストランのウェイターが「性能の良い高級国産車のようになめらかに忠実に近寄ってきて」っていう村上春樹的比喩が一か所だけでてくるのが面白い。そういえば話のつくりとして村上春樹的な雰囲気がないでもない。

 

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同じ作家からもうひとつ(ちなみにこの作家は前に取り上げた木皿さんの本で紹介されてました)。こちらは、よろず見守りというニッチなニーズがありそうな仕事をしている女性が主人公でもちろんバツイチ。毎回、食(というか酒)の話がでてくるので、女性向きかも知れない。一話完結の短編の連作になっていてぱらぱらと読みやすいので、こちらも合わせて是非。