Nikon Z 5 x NIKKOR Z 85mm f/1.8 S
先日から珍しく続けざまに日本映画だが、有楽町で「ぼくのお日さま」を見る。
あまりスポーツの得意でない少年がある日、フィギアスケートを練習している女の子に目を奪われ、自らもスケートに夢中になっていく。
照明を落としたスケートリンクは美しく明暗のある舞台に仕立てられて、氷上を滑る少年と少女の姿を幻想的に描きだしている。
登場人物の語り口は穏やかで、口数も少ない。少年を囲む教師や父親はほとんど一言くらいしかセリフがないが、そのわずかな言葉には少年への気遣いと優しさが込められているように思う。
観客が巡らす様々な思いや問いには明確な答えや説明を用意せずに物語は進行し、ラストシーン後には、それが逆に余韻となって見るものの心の中に広がっていく。普段はエンドロールはほとんど見ずに、すぐに席を立つのだが、この映画ではハンバート・ハンバートの主題歌と共鳴してその余韻がどんどん大きくなり、立ち上がることができなかった。
これも配信ではなくぜひ劇場で見てほしい作品。90分ほどの中篇なのでお時間あればぜし。