宮下奈都というのは全く知らない作家だったが「ワンさぶ子の怠惰な冒険」というエッセイ(というか日々の記録)を読んだら思いのほか面白かった。
何も大きな事件が起きない、静かな家族との生活がかけがえのない幸せ、ということがよく分かる素敵な文章。なんとなく母子家庭の話のように読み進んでいたが、時々思い出したように夫がちょっとだけ登場する。別に夫を軽視しているわけではなく、本人があまり触れてほしくないのだろう。
あるイベントで司会者がシンガーソングライターの小室等(こむろひとし)の名前を「こむろなど」と読み上げた話など、ちょっとしたエピソードが楽しい。
カラーの挿絵も美しく、お買い得感のある一冊。お時間あれば是非。
こんどはこの人の小説を読んでみよう。