Green, blue and etc.

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大人になったら


RICOH GR IIIx

畑野智美の「大人になったら、」(中公文庫)を読む。メジャーデビュー作「国道沿いのファミレス」から注目してる作家だけど、考えてみれば自分は「大人になったら」どころか、もう立派なおじさんなんだよね。

読者を物語にぐいぐいと引きずり込む力は山本文緒に近いものがありますね(と思って今調べたら、山本文緒さん、昨年亡くなっていたことをしる。やや呆然。あの文章がもう読めないとは。とりあえず、合掌)。

 

カバー裏の惹句に「大人になりきれない私たちの恋愛小説」とある。でもそういうと、ほとんどの人は大人になってしまったかのようだ。実際にはみんな「大人になる」とか、そんなことを考えなくなっただけじゃないのかな。

作中では、主人公の心中の声が執拗なほど細かく語られるんだけど、確かに日常を生きるってことは毎日目の前に現れる選択肢を、迷いながらひたすら選び続けるってことなんだと思う。けっこう大変な日常を描いてるけど、ちょっと元気が出る小説なんで、時間があればぜし。