たまたま見たNHKのアナザーストーリーという番組がとても良かった。
後半くらいから見始めたので詳細は分からないけど、若き日の指揮者、小澤征爾が文革後の中国で現地の音楽家相手にブラームスを指揮しに行く話。
日本が多大な「迷惑」をかけた中国に必死の思いでブラームスを伝えようとする小澤と、文革時代にあらゆるものを奪われた中国の音楽家たち。西洋音楽を渇望する思いと、小澤の指揮者魂?が交錯して、それはそれは濃厚な練習が行われる。
言語の壁などものともしない「音楽の力」と言うと凡庸だけど、でもそうとしか言いようがないくらい、実りある文化交流だったのだと思う。もちろん、そこには小澤の人を動かす天性の指導力もあったのだろうが。
それにしても、よくぞこういう映像がのこっていたものだ。
若い中国の二胡奏者が小澤の前で演奏を聴かせる場面があるが、この演奏がまたすばらしい。後に、小澤が彼女をアメリカの音楽祭で紹介することになるのだが、こうしてこの交流はいろいろな人の運命を変えていく。
アナザーストーリーというくらいだから、関わった人たちのストーリーも大切なんだろうけど、何より音楽というものが文化や国籍を超えて人を動かすことができるのだ、ということを見事に表現している。もし再放送があればぜひ。
あ、この落葉シリーズ、まだ続きます。