Green, blue and etc.

Cameras: SONY α7S, OLYMPUS OM-D E-M1, DMC-GM5, DMC-GF7, FUJIFILM X-T2

川瀬巴水の世界

先日、テレビ東京の「美の巨人たち」で川瀬巴水(かわせはすい)を特集していた。千葉市美術館で新版画の展示会があるとのこと。

www.ccma-net.jp

おおそう言えば巴水の作品集がウチにあったはず、とゴソゴソと探してきました。奥付を見ると「平塚市美術館」とあるので、その展示会で買ってきたはず。

 

この芝増上寺が彼の代表作らしい。個人的にこういう浮世絵独特の芸術性とコマーシャル性(商業性)が同居してる感じが好きなんですね。

海外の著名人からも愛された巴水の作品群、返す返すも残念なのは関東大震災で、それまで各地を旅して生み出した大量のスケッチが焼失してしまったこと。日本が急速に近代化に向かう中で失っていった貴重な文化風土の記録が一日にして灰になってしまったのだ。

もっとも「美の巨人たち」によると、震災直後から巴水は再び写生の旅に出たという。彼の努力というか、版画にかける熱量によって、往時の日本の姿を多少なりとも垣間見ることができるんですね。

 

巴水の絵の驚くほど細かな描きこみと、画面の隅に配された少し寂しげな人影の描写、何となく誰かの作風に通ずるものがある・・と考えていて思い当たったのが、谷口ジローの漫画「坊ちゃんの時代」。まあ、多分に個人的な思い込みだけど。

 

 

あとこのブルーがいいですね。

 

ご破算で願いましては

山本文緒の「残されたつぶやき」を読んでいる。今後あらたな作品が書かれることはないから、読者はこうした残された文章を拾い集めるようにして読むしかないのだ。
この本の中で、昔の手帳を処分するときにふと思い浮かんだ言葉として、そろばん算術の口上として使われる「ご破算で願いましては」を挙げている。確かに、「これまでの色々をチャラにして、新しく始めますよ」ということをシンプルかつ高らかに宣言する実に気持ちのいい言葉だ。

しかし、自分の好きな女性作家はなぜか早逝してしまう。鷺沢萠しかり、氷室冴子しかり。。

そういえば最近、氷室冴子の「いっぱしの女」が復刻されたのか、書店の平台に積んであった。名著なので未読の方はこの機会にぜし。